「出演者と市民に光を当て、白河を輝く街へ」―コミネス照明担当・古川睦子さん

もえ

もえ 高校生
もえ
音響の方が操作する機械の紹介を聞いていると、横から「絶対、機械が新しくないからって照明のことディスってるよね」と気さくに話しかけてくれたのは「コミネス」で照明を担当する古川睦子さん。大学卒業後、「コミネス」の仕事に至るまで様々な出来事と1つの縁がありました。なぜ都市部ではなく、白河で仕事をしているのかをテーマに、これまでの古川さんの人生や、仕事に対する想いを聞くことが出来ました。初対面とは思えないほど明るく自然体でインタビューに答えてくれました。

古川さん、照明の仕事に出会う

もえ
コミネスで古川さんが担当している照明は、演劇やライブの裏方の仕事。音響、美術、舞台演出などいろいろある裏方の仕事の中でなぜ古川さんは照明を選んだのでしょうか。
古川さん
もともと高校生の時に吹奏楽部に所属していて、そのときは音響にとても興味がありました。でもテレビの「めちゃイケ」の中で岡村さんが劇団四季のライオンキングに出演しているのを見て、「舞台を特等席で見れる照明の仕事ってすごい!」と思いました。
もえ
照明の仕事を目指し白河高校を卒業した古川さん。ここからは会社に属さず、フリーで仕事を始めます。
古川さん
高校卒業後は大学に進学して、照明の仕事も同時に始めました。大学では技術を学ぶだけなので、やはり現場でやったほうがいいと感じました。大学卒業後は東京で舞台や企業の展示会などの照明の仕事をフリーでやっていたのですが、1人ですべてやるのは大変でした。その間はほとんど休みが無かったけど、全部完成したときは達成感があって、充実していたと思います。8年間仕事をして、家の事情で辞めて、白河に戻りました。

東京時代の古川さん。

もえ
このあと、一度照明の仕事を辞めた古川さんにある転機が訪れます。
古川さん
辞めた後は2年間、ホテル業界の仕事をしていました。ある日美容室で、昔照明をやっていたという話をすると、「コミネスっていう施設が出来て、照明を募集しているらしいですよ。」と言われて。そうしてまずは白河市民会館のお手伝いをするようになりました。お手伝いをしていくうちに「うちで正式にやってみないか」ということで正式に白河市民会館で働くことになりました。正直、白河に帰ってきたときは、照明の仕事に戻る気は無かったです。でもやっぱり照明の仕事が好きだから戻ってきたのだと思います。

古川さん、照明の仕事に再会する

もえ
一度辞めたと聞いたとき、驚きを隠せませんでした。もし美容室の方が「コミネス」のことを話していなければ、古川さんは照明の仕事に戻ることはなかったかもしれません。縁に恵まれて、もう一度照明の世界に戻った古川さんについてもっと知りたいと思いました。ここで少し話題を変えて、照明の仕事について伺ってみました。


古川さん
照明の仕事は主にライブやファッションショー、企業の商品発表会、試写会があります。その中で、私は「自分で明かりを作りたい」と思って仕事をしています。「自分で明かりを作りたい」というのは、例えば、商品発表会では企業のテーマに合った照明を当てる。演劇では秋と冬は夕焼けの色が違うから、オレンジや青を入れる。照明の光は太陽と違って一方にしか届かないから、反対側からも光を当てる。裏方だから主張しすぎない。主張しすぎない中で照明をプランニングし、いかに立体的に見せられるかというのが大切だと思います。
もえ
続いて、現在働いている「コミネス」について聞いてみると…
古川さん
「コミネス」での仕事は舞台や公演が見られて、毎日がとても新鮮だから楽しいです。まだできたばかりだから、「コミネス」の魅力は、これからみんなで作っていくものだと思います。やっぱり利用してくれる人が魅力を感じてほしいし、催し物が無くても気軽に足を運びやすい空間になればいいと思います。
でも、最初に「コミネス」を見たとき、「最先端っぽいけど大丈夫かな」と感じました。というのも、設備が電動のものが多くて怖いなって思うことがあって、東京で仕事をしていたときも、機械関連で怪我をしたスタッフを見たことがあるので、便利であることはもちろんいいけど、見えない怖さがあって、怖いと感じることが多いです。

古川さんとコミネスとこれから

もえ
現在は「コミネス」一本で働いている古川さん。今後の目標やビジョンはあるのでしょうか。
古川さん
舞台の普通を普通にしたい! …というのは、人と人との距離が近くなるように、照明の仕事をしていて感じるのは「コミュニケーションの大切さ」で、福島は地域のつながりが深い分、内に内にこもっているようにみえます。だからもっと精力的にコミュニケーションをとって、お客さんも外部のスタッフも利用しやすい会館にしたいです。そして、街の活性化に繋がればいいなと思います。演歌も聞くの好きだし、それ以上にステージを見ているお客さんを見るのが好きですね。

もえ’s 取材後記

もえ
本当に照明の仕事が好きで、辞めてからもう一度戻って来ることが運命だったように感じました。最初、古川さんの「自分で明かりを作りたい」という意味が分かりませんでしたが、太陽の位置を照明で細かく表現するというのを聞いて、納得できました。人生は何が起こるか分からないし、突然変わることもあるけれど、古川さんの照明に対する想いを聞いて、好きな仕事を続けられるというのは幸せなことだなと思いました。白河の活性化に繋がるような「コミネス」にしたいという話を聞いて、私は古川さんのように地方のために働いている人を行政の面で支援できるような人になりたいと思いました。裏方さんに一度お話を聞いてみたかったので、貴重なお話を聞けて良かったです。

白河文化交流館・コミネス

住所

〒961-0075 福島県
白河市会津町1-17

定休日

火曜日(イベント開催日等を除く)

電話番号

TEL 0248-23-5300

URL

白河文化交流館・コミネス

ABOUTこの記事をかいた人

もえ

宇都宮大学地域デザイン科学部1年。白河脱出の関東人。相変わらず嵐とディズニーには目がない。「私にたくさんの縁を繋いでくれた方々のように、私も街づくりの中で人と人との縁を結べるような存在になりたい」と思いながら地域について勉強中。前後編の記事の次は何を書こうか悩み中。