避難先でも作りつづける。大堀相馬焼窯元・いかりや商店山田慎一さん

あさぴよ

あさぴよ 高校生
あさぴよ
「なんてハイテクなんだー」
「350年も前からこんな技術が使われていたとは、この「大堀相馬焼」、只者ではない」。決して誇張しているわけではない、この焼き物について調べた高校生のリアルな感想だ。この記事を読んで、一度あなたもその衝撃を受けてほしい。

 

白河市で大堀相馬焼を続ける

大堀相馬焼の急須を窯出ししたところ

編集長
山田さんは、もともと白河市ではなく、浪江町のご出身です。
あさぴよ
どのような経緯で白河市に来たのですか?
山田さん
はい。みなさんご存知のように、浪江町は震災後、全町避難をしました。
編集長
わたしから高校生に向けて補足すると、大堀相馬焼の窯元が集まる大堀地区は、双葉郡浪江町にあります。2011年の3月12日以降、浪江町全域には避難指示が出されていて、2013年4月1日からは、現地の年間積算線量が低い順に、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」の3地区が指定されました。同じ避難指示が出されている浪江町内でも、区域によって立ち入りの自由や今後の復興計画に違いがある、という状況です。そして、福島県や環境省の資料を拝見すると、大堀地区は「帰還困難区域」にあたります。

2015年9月5日時点の避難区域の状況(福島県 避難区域の変遷について-解説-より引用)

2013年10月時点の浪江町全体平面図。大堀地区は県道253号線沿いにある「やすらぎ荘」付近。(環境省より)

山田さん
わたしたちは2011年3月当時、他の町民とは違うルートで避難をしたんですね。家庭の事情などで、縁があったので、一度東京に向かいました。
山田さん
わたしたちが県内に戻るメドを立てたのは2011年の5月頃でしたが、当時の福島県内は住宅事情がひっ迫していて、なかなか住宅が見つからず、5月中旬まで東京にいました。そんななか、知り合いのツテでやっと住宅を見つけた。そこが白河だったんです。
編集長
山田さんは、それで住宅を白河市街に構えたんですね。そして2013年6月には、工房を白河市大信の堂山業務用団地に再建しました。白河市大信は、市街からは車で20分ほどの、田園風景のひろがる地域です。

あさぴよ
そのほかに、震災によって苦労したことはありますか?
山田さん
そうですね…震災で職人がばらばらになってしまったことでしょうか。 それまでは、浪江町の大堀地区で、作る、焼く、描く人が分業制で作業を担当し、相馬焼をつくってきました。

この日は、取材と一緒に相馬焼体験をさせていただきました。手びねりを教えてくださる山田さん。

山田さん
しかし、震災後は職人が県内外にばらばらになってしまい、工程の最初から最後まで、ひとりで作業をしなくてはならなくなりました。それが大変なことのひとつです。それでも、仲間同士が助け合う文化はあって。一度大きな注文を受けた時に、焼きを入れる段階ですべて失敗してしまい、納期までどうしても間に合いそうにない。そんなとき、仲間にも制作を依頼して、自分も寝ずに作業をして、みんなで納期になんとか間に合わせた、そういうこともありました。

湯のみや茶碗はもちろん、急須や花瓶も作陶されている

大堀相馬焼ってどんな焼き物?

あさぴよ
なるほど。改めてなのですが、大堀相馬焼について詳しく教えていただけますか?
山田さん
わかりました。大堀相馬焼は、約350年前に相馬藩下で生まれて以来、現在の浪江町大堀で作陶されてきました。特徴としては、「青ひび」という、特定の粘土と釉薬を用いて陶器を焼くことでできる美しい模様。そして、願いを込めて描かれる相馬藩の御神馬の絵「走り駒」。保温性・断熱性をもつ「二重焼」(にじゅうやき/ふたえやき)という特徴があります。

大堀相馬焼、みっつの特徴

大堀相馬焼の特徴、二重焼き。ひとまわり小さい器を大きい器の内側に挿入してから焼成する

あさぴよ
たくさんの特徴がありますね。つくるときのこだわりには、なにがありますか?
山田さん
そうですね、私はつくり手であると同時に、販売者でもあります。常に「手の抜いたものは作らない」というプライドをもってやっていますね。人よりも、2〜3倍の時間をかけているんです。

大堀相馬焼のこれから

あさぴよ
最後に、いま大堀相馬焼が抱えている問題を教えてください。
山田さん
問題というと、後継者がいない、ということですかね。震災から5年、まもなく6年が経ち、町の若い世代は町外県外での新しい生活ができています。なかなか、町に戻ってくるのが難しいのが現状です。そこで戻ってこいと無理強いもできないので、いまは他の場所から職人や窯元になりたい人を募集し、育てていくことにしています。
山田さん
今年は京都から大学生が来る予定になっています。浪江町の地域おこし協力隊として、職人になるための修行をしてもらう。新しく他の場所から職人になりたい人が来るので、楽しみですね。
あさぴよ
今日は取材に応えていただいて、ありがとうございました!

ドヤ顔だがほぼ先生作

あさぴよ’s 取材後記

あさぴよ
最後まで記事を読んでくださりありがとうございます。
いかりや商店さんの取材を通して、「大堀相馬焼のスゴさ」と「山田さんの相馬焼に対するアツい想い」に少し触れられた気がします。相馬焼について語るときの山田さんの話し方は、情熱がこもっていて聞いてる側もアツくなってきました。
そんな山田さんのつくる大堀相馬焼は白河市大信の「いかりや商店」さんで購入できます。今年のトレンドは「二重焼き」。なくなる前にお店へどうぞ!!ライターあさぴよさんの記事一覧

デスクインフォメーション

編集長

2017年3月3日から5日までの3日間、石川郡玉川村の福島空港で大堀相馬焼の新作展が開催されます!

新作展には福島市、郡山市、白河市などに工房を構える各窯元が集い、芸術性が光る作品を出展するとのこと。出展するのは山田さんのいかりや窯をはじめとして春山窯(いわき)近徳京月窯、半谷窯(福島)あさか野窯(郡山)栖鳳窯(矢吹)松永窯(西郷)のみなさん。

時間は午前10時から午後5時(最終日は午後4時)まで。問い合わせは大堀相馬焼協同組合へ。

山田慎一(Yamada Shinichi)

いかりや商店13代目店主

1970年双葉郡浪江町生まれ。白河市在住。
国指定伝統的工芸品、大堀相馬焼「いかりや窯」の主人として作陶。
2011年、福島第一原子力発電所の事故に伴い浪江町外に避難。
2013年には、白河市大信に作業場を再建。

大堀相馬焼 窯元「いかりや商店」

住所

〒969-0308

福島県白河市大信増見下川原11-7

 

営業時間

10:00~16:00
※配達等に出ている場合もあるとのこと。お電話でお問い合わせください。

 

定休日

不定休

 

電話番号

0248-22-5080

 

URL

大堀相馬焼 窯元「いかりや商店」
http://ikariya.html.xdomain.jp/
大堀相馬焼協同組合公式ページ 陶芸の杜 おおぼり
http://www.somayaki.or.jp/