もっと、自分の思い通りに「なんちゃ」を楽しむ。『なんちゃって制服委員会』の挑戦とは。

青砥 和希 大人
編集長 青砥
福島県に住む女子高生が目指す社会は、「もっと自分の思い通りになんちゃって制服を楽しむ人が増える社会」。「なんちゃって制服」ってなんだー!?高校生活と制服。シンプルに楽しく活動するふたりに聞きました!
まほし
テキストは編集長が、イラストと一部の写真はわたしが担当しました。

私たちが「なんちゃ」を着る理由

取材に答えてくれた2人。

編集長 青砥
こんにちは!裏庭編集部のある白河に来てもらったのは初めてですねー!その服は制服ですか?
ゆっきー
これはなんちゃです。
編集長 青砥
「なんちゃ」……………「なんちゃ」って、なんですか!?
みっきー
「なんちゃって制服」の略ですね。
私たちの所属する高校は、指定の制服がなくて、私服通学の高校なんです。でも、多くの生徒が、制服を着ることや、制服のデザインへの憧れがあって。お店で高校生の制服っぽい服、「なんちゃって制服」を購入して、通学しているんです。
編集長 青砥
へえー、私服を着てもいいいいのに、あえて「なんちゃ」を着るんですね。
ゆっきー
わたしは、全員が同じ服を着て、校則の中で生活する団体の中で、評価される自信がなかったんです。「なんちゃって制服」という選択肢のおかげで、表現という自分の好きな分野で戦える武器を得たような感じでした。また制服のあるなしで、高校の開放感、楽しそう感が全然違くて。決定的に違う。わたしはそれを理由に、高校入試の偏差値が3くらい高くても、今の高校を目指そうって思ったくらいです(笑)
編集長 青砥
なるほど。制服がないとはいえ、校則や暗黙のルールはあるんですね。
みっきー
私たち自身なんちゃが好きだから、自分たちでも着たいし、写真も撮りたいし、写真を集めたいと思っています。

ロゴ兼キャラクターもあるよ

編集長 青砥
なるほど。そして、ふたりは「なんちゃって制服委員会」という活動をしていると聞きました。これは、どんな活動なんですか?
みっきー
なんちゃをどこで購入していいかわからない、新品だと高すぎて買いたくても買えない人がいるなら、着たい人みんなが、なんちゃを着れるような活動をうちらでつくろうって。そう考えて、「なんちゃって制服委員会」を始めました。街の古着屋さんでなんちゃを探せば、高いブランドも安く買える。メルカリで検索して購入すれば、もっと安く手に入ることも。お小遣いでなんちゃを手に入れられるようにしようって。
ゆっきー
スカートは10000~15000円、シャツは5000円前後、ブレザーは30000円前後…とか。EAST BOYとかCONOMiが代表的なブランドを比較して、平均の値段を調べたのですが、有名ブランドはやっぱり値段は高め。しかも、私たちの高校のある郡山市の店舗だと、サイズ展開が少なかったり、新入生が一斉に購入する春だけの限定ショップだったりして、思うように買えるわけではないんです。
メインの活動は、3日に1回、Instagramへ投稿すること。高校生のモデルさん、カメラマンさんに協力してコーディネートの提案をしています。モデルになってくれた人が着ているブランドの名前や、買ったお店を紹介して、なんちゃを着たい人に情報を届けます。モデルさん、カメラマンさん探しもいつもしていましす。なんちゃを着ている人、インスタのフォロワーさんや、フォロワーのフォロワーさんに声をかけたりしています。

 

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No.24 ・ 👚スカート/セシール、ネクタイ/EASTBOY、ソックス/H&M 🗣 モデルになった気分でとっても楽しかった! ✍🏻️ご協力頂いたモデルのみなさんありがとうございました🙇🏻‍♀️ ・ #なんちゃって制服委員会 #青春を私らしく #なんちゃって制服 #なんちゃ #制服 #制服コーデ #高校生 #放課後#jk #jkブランド #イーストボーイ #コノミ #キューポップ #無印良品 #eastboy #conomi #ralphlauren #drmartens #coordinate #school #schoolgirl #schoolboy #schooluniform #いいね #いいね歓迎 #いいねください #followme #follow4follow #f4f

なんちゃって制服委員会さん(@school_minority)がシェアした投稿 –

私たちのまわりには、制限がたくさんある

なんちゃって制服委員会のフリーペーパー

編集長 青砥
ふたりとも、Instagramだけじゃなく、Twitterの運用も、フリーペーパーの配布も行なっていますよね。そんなに頑張れる理由って、なんですか?
みっきー
校則とか、金銭とか、性別とか…本当は着たい服があるのに、私たちのまわりには、服を着られない制限がたくさんあるって気がついたんです。自分たちの思うように服を着る。好きなように着ることができるような社会を目指したいと思っています。最終的に目指したい目標は、なんちゃって制服を、誰でも着られる社会です。
編集長 青砥
具体的には、制限ってどういう風に感じますか?
ゆっきー
なんちゃを着ている人の意見には「お小遣いで買える値段のアイテムが欲しい!」「もっと長いスカート丈が欲しい!」といったものがあります。新品は高くて購入できなかったり、メーカーさんでもサイズの展開が少なかったり…

委員会がつくったオリジナルアンケート

みっきー
最近は、なんちゃを着ている人、着たい人に、アンケートとインタビューもしています。そこでは、自分のしたい理想の服装と、実際の服装とのイメージの差を「実現率」っていう言葉で聞いています。聞いてみると、実現率が100%って人はほとんどいなくて。実際にはいろいろなハードルがあることがわかりました。「着こなしが難しい」っていう意見や、高くてほしいアイテムが買えない、とか。
ズボンが履きたいけど、女子だと珍しい、とか、セーラー服が着たいけど、学校で浮いちゃうとか。
編集長 青砥
ズボンを履きたい女子もいる?
ゆっきー
私がそうですね。読む雑誌も、ノンノより、メンズノンノのほうが好きで。別に男性の格好をしたいというより、メンズライクの方が普通に好きで。あと、冬は普通にスカート寒い(笑)
みっきー
制服のある学校の子で、男の子で、スカートを履きたいっていう人がいます。その子は、外見は女の子になりたい男の子なんです。
編集長 青砥
実際、制服のない学校だったら、自由に服を着ることができそうだけど、そうじゃないんでしょうか。
ゆっきー
完全に自由、じゃないんですよね。忖度しろ感がすごくて。「ちょっとスカート短くない?」とか「学習の場にふさわしい格好をしろ」とか。こういう感じにしましょう、とまでは言わないんですけど、「最近ちょっと短いと思います。」とかは言われますね(笑)
みっきー
まわりに”浮く”のが怖いっていうのもあるかな。でも、校則や雰囲気が、変だなと思ったら、それを指摘したり、言ってもいいっていう雰囲気が作りたいです。いま委員会のメンバーは、郡山市と、仙台市、福島市、それにいわき市にいます。もともと友達だったり、インスタで繋がったメンバー。そのうち、いわき市のメンバーが、いまの校則はおかしいから署名を集めて変えてみようと、実際に署名を集めて学校に変更の要望をしたら、反省文を書かされて。せっかくのアクションが、そういった形で縮んでしまうのは悲しいなと思っています。服装は校則で、制限のひとつで、厳しくする理由もわかるけど、じゃあスカートの長さによって、本当に犯罪率は下がるのか?リボンではなくネクタイを推奨する理由って?とか。校則が無条件で一番正しい、話し合いはする必要がない、っていう”当たり前感”には、ちゃんと向き合う必要があると思っています。
ゆっきー
でも、その一方で、学校と話し合いしていくことを活動の中心にしちゃったら、なんちゃって制服を楽しむという身近なものから、みんながついていけないプロジェクトになってしまう気がして。

郡山市内のパン屋さんで、写真撮影の様子。

編集長 青砥
目標は少しづつ変わっても、なんちゃが好きという気持ちと、それを写真に撮ってシェアするという、最初の活動は変えていないんですね。
みっきー
写真を撮ることに加えて、実際にインタビューをすると、深くみんなの話が聞けてとても参考になります。私たち自身安心もします。大人の人に、頑張って活動しているのはわかるけど、自分たち以外の高校生も、本当にみんななんちゃが好きなの?って聞かれたことがあって。そんな時は活動に意味があるのかな、ってちょっと不安になったこともあるんですけど。実際に話を聞くと、予想以上になんちゃ好き度が高くてびっくり。本当にみんな好きなんだなあって思っています。

青春を、自分らしく。

編集長 青砥
いま、やりたいことはありますか?
みっきー
たくさんあって、困っているんですけど(笑)ひとつは、サイトをつくりたいです。地方にも、こういうお店があるとか、なんちゃの入手先だけを集めているまとめサイトがあればいいなって。情報の架け橋になれると思っていて。販売する側のお店の人も、どれくらいなんちゃへの需要があるかがわかると、もっと積極的に販売してくれるかもしれないと思っています。
ゆっきー
サイズひとつとっても、もし「スカートが短い」とか言われても、身長が高いとちょうどいいサイズがなかったりして。それは、新品のお店に行っても、古着屋に行ってもなかなか解決しないんです。それでも、たくさん情報や古着を集めたら、少しは解決する可能性が上がるかなって。アンケートでの理想と現実の実現率の差も、大抵は、欲しいアイテムがあるのに、手に入らないっていうことが理由です。
みっきー
本当は、着用者の意見を反映させた商品開発を、メーカーさんとしてみたいです。こんなことで困っている高校生がいるってことを、伝えたいです。だからこそ、まず次の目標は自分たちで”なんちゃって制服の古着屋”をやってみたいを開催することです。着用者や先輩がなんちゃを捨てる前に、お互いにつながって、必要な人になんちゃが届く古着屋を開きたい。そのために、なんで古着屋が必要なのかは、証明しないといけないと思って。性別で困っている、サイズで困っている…実際にみんながどんなことで困っているのか、その証拠をインタビューやアンケートで聞いています。どうして私たちが古着屋をやりたいのか、基礎を自分たちでしっかり固めてはじめて、求めている人と繋がることができるし、モノも集まると思います。
編集長 青砥
もしこの記事を読んでいる高校生がいたら、伝えたいことはありますか?
ゆっきー
私たちのインスタを見て、広げてほしいです!!!あとは、私とみっきーで2月2日(予定)に安積歴史博物館でなんちゃって制服の試着会を行う予定です!
みっきー
このイベントは、『服を集める』という目的+『高校生のつながりを作る』という目的があります。スタッフは全員アピールしたいものをもつ高校生や大学生でを考えています。0から1をみんなで作りたいと思っています。スタッフを募集中です!
編集長 青砥
今日はありがとうございました!

取材後記

まほし
私の高校には制服があります。自由なファッションを楽しめるアイテムとしては、リュックや靴、冬季はアウターやマフラーしかありません。しかし、好きなものを身につけて自分を表現する点で、なんちゃって制服委員会さんの活動に共感することがたくさんありました。
そして、今回の取材を通して、私は衝撃を受けました。同世代でこんなにも積極的に、自主的に活動を続けている方に初めて会ったからです。なんちゃの様々な悩みに耳を傾け、今しかできないことに全力で取り組む皆さんを応援しています。
編集長 青砥
郡山市にある施設コトひらくで彼女たちに出会って、それからゆっくりお話を聞かせてもらって、彼女たちの言葉を書き起こさせてもらいました。話を聞いてすぐに、鷲田清一が人はどうして服を着るのか、ファッションが存在するのかというエッセイを書いていたことを思い出して、私自身本を読み直してみました。『ひとはなぜ服を着るのか』(ちくま文庫)の中で、鷲田はこう書いています。
「(ファッションがひとを)いらだたせるのは、それがいらだつもののアイデンティティの核にふれてくるからである。」ちょっとこの抜き出し方だとわかりづらいので、もっと具体的な部分を引用するなら、次のような部分です。
「……体制がファッションを嫌悪するほんとうの理由は、それが嫌悪するそのふまじめさが、あるいは確とした根拠がないという事実が、じつは体制の根底にあるということではないだろうか。ふまじめさがみずからの根底にあるからこそ、それは、あからさまにそのふまじめさに居なおるファッションを、毛嫌いするのではないだろうか。まじめを称揚する社会が、ほんとうはもっともふまじめな構造をもっていることを露出する。」
制服は多くの場面で、正されるべきものだったことに、覚えのある大人や、高校生も多いのではないかなと思います。私も、そんな覚えが一度ならずともあるひとりです。「自分の思い通りに!」「なんちゃって制服を楽しむ!」を掲げるなんちゃって制服委員会。制服を楽しむというテーマは一見ふまじめなようですが、実は誰より真摯に自分たちの身近な世界に向き合っているのが彼女たちだと思いました。誰でも自由に、なんちゃって制服を着られるように、アンケートで周りの人に耳を傾ける。自分たちでアカウントをつくって撮影から投稿までやる。その誠実さに心強さを感じた取材でした。冷静に取材すべき立場を忘れて、彼女たちの活動を応援しています!

ゆっきー

なんちゃって制服委員会

2002年生まれ。小学生のときに「普通の学生をやっていては、大人になってからいろんな人に負ける」と思って仕事をしていないことを焦っていた。今考えたらやばい小学生だった。両親に相談すると、「高校生になったら好きなことをやってもいいから、義務教育はちゃんと受けなさい。」と言われたため、高校生になったら青春は捨ててなにかを極めると決めていた。いろんな失敗を経て最後に残ったのが、この「なんちゃって制服委員会」だった。

みっきー

なんちゃって制服委員会

2001年生まれ、高校2年生。写真部・生徒会執行部所属。もっとキラキラした“the JK”というJK生活を思い描いて高校に入学しましたが実際はそうでなく、しかしゆっきーと出会いこのなんちゃって制服委員会が始まり今では学校となんちゃって制服委員会の忙しさに揉まれながらその忙しさを楽しく感じています!!

なんちゃって制服委員会

学校でフリマをやりたかったユッキーが生徒会のみっきーに相談し、「それは無理だけどなんちゃの写真を集めたかった」と、みっきーが伝えたことでプロジェクトが始まった。同じ高校のメンバーが全員で3人。県内に他8人、県外に2人委員がいる。主な活動はインスタ更新と季節ごとのフリーペーパー作成。その他にも中学三年生を対象とした試着会を行い、ファッションショー(これから)や、なんちゃの古着屋(予定)を通して自分たちが入学前に経験したような不安を感じる人を減らすことも目標である。

キャッチコピーは、「青春を、私らしく。」。本当は自由に着られるはずのなんちゃって制服も様々な制限によって必ずしも満足度は100%ではない。このプロジェクトを通して”もっと自分の思い通りになんちゃって制服を楽しむ人”が増える社会を目指す。

 

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