360度から音をみつめてーコミネスの”音”に迫る

鱸

高校生
以前の白河市市民会館と比べてパワーアップした現白河市市民会館である白河文化交流館コミネス。取材の中で聞いた新しい設備のことや、館長の話にはとても惹きつけられました。その中でも、多方面から取材した“音”の話が、私にとって特に興味深いものでした。そこで今回は、私が取材中に惹きつけられた“音”に着目して紹介したいと思います。

館長・志賀野桂一さんの考える音

映画やドラマの盛り上がる場面でそれにあった音楽が流れ、より感動したり、引き込まれたりした経験はありませんか?または、オルゴールの音の音楽や、ゆったりとしたジャズ音楽を聴いてリラックスした経験はありませんか?館長の志賀野桂一さんは、「音楽は人の感情をダイレクトに揺さぶる」といいます。音楽は、そんな原始的なものであるからこそ「音楽は演劇よりも上に行くことがある」と館長は語ります。
館長である志賀野桂一さんによると、音楽とは「人の精神世界にダイレクトに働く世界」なのだそうです。例えば演劇だと、一度自分の脳内でセリフをしっかりと理解する必要があります。そうしないと内容を把握しにくいからです。しかし音楽は音を聞くだけでも楽しむことができます。
そんな音楽に情熱を注ぐ館長こだわりのコミネスの音響設備。それは音楽を演奏する人達に非常にオススメなものなのだそうです。 今回特に本格的になったのは、音響反響板という設備です。これはその名の通り、ホール内に音響をより良く反響させるための設備です。 以前の市民会館で使われていた音響反響板は、ベニヤ板のような木の板でできたものでした。それは、低い音が反射せず音の厚みを無くしてしまっていました。しかし新しい市民会館コミネスでは音響設備もリニューアルされ、以前よりも暖かい音が出るようになったと館長は言います。 コンクリートのような素材でできたそれは、低い音から高い音まで満遍なく反射させ、ホール内に響かせてくれます。同じ音響反射板でも、以前とは全く異なる音響設備なのです。

音響反射板

コミネス大ホールをステージから

PA・鈴木大樹さんの考える音

ここで、意外と知られていない、“音”と接する仕事をしている人を紹介します。PA(Public Address/音響設備、またそのオペレーターのこと。)の鈴木大樹さんです。鈴木さんは元バンドマンで、ギターをやっていました。自分のギターの技術に伸びしろがないと感じ、何をしようかと思ったときにふと音響に興味が湧いたのだそう。
「自分がバンドを組んでいたときに、利用していたホールの音響さんは『お前らの“音”は俺がもっとよくできる』とバンドマンをいわば手のひらの上で牛耳っていたんですね。そうやって音を操ることができるのがいいなって興味が湧いて、やってみたら面白かったんです」と鈴木さんは言います。

鈴木さんも操作する音響用ケーブルの束

ipadと連携させて使うことのできる機器などのデジタル化の進む音響設備のおかげで楽だと、まるで自分のことのように誇らしげに語る鈴木さんですが、苦労することも多いのだそうです。 音響を調節するための部屋は防音になっており、窓を開けないとホール内の生の音を聞けないので音量調節が難しいこと。リハーサルでは出演者の方に音を大きくするように指示されていたのに、後に観客の方からのアンケートで「音がうるさかった」という感想をもらったこと。

鱸’s 編集後記

私たちが普段市民会館を利用するときはあまり意識しない裏方の仕事ですが、こうしたPAさんの苦労があってこそコミネスの新しい音響設備を生かすことができるのです。 今回私はコミネスの“音”に着目し、紹介しました。以前の市民会館との違いやPAさんの存在を知った上で新しい市民会館コミネスに足を運ぶと、何か新しい発見があったり感じ方が変わったりするかもしれません。

小ホール客席周辺の壁。防音仕様になっている。

白河文化交流館・コミネス

住所

〒961-0075 福島県
白河市会津町1-17

定休日

火曜日(イベント開催日等を除く)

電話番号

TEL 0248-23-5300

URL

白河文化交流館・コミネス

ABOUTこの記事をかいた人

鱸

山形大学人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース1年。絵を描くことと邦楽ロックを聴くことが好きだから、絵画部と漫研と軽音を掛け持つことにした。楽しい。…楽しいけど地元が恋しい。兎に角実家に帰りたくて仕方がない。一人暮らしが辛い。ちなみに山形はラーメン屋さんの店舗数全国1位らしい。でもやっぱり私は白河ラーメンが好き。