高校生と地域の新しいあり方とは? シンポジウム取材レポート

ソルティー

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ソルティー
7月22日、わたしたち「裏庭」編集部の地元白河市で、あるシンポジウムが行われた。テーマは「地域と高校生の協働」について。高校生と地域との関係が、一昔前とは変わってきているとのこと。そのような取り組みについて、「裏庭」編集部をはじめとした3グループからの発表、そしてそれらに対する意見が述べられ、さらに理解を深めていくことができる――今回はそんなシンポジウムに潜入したレポートをお届けする。

そもそも「シンポジウム」って?

ソルティー
「シンポジウム」…って、テレビや新聞で目にすることはあるけど、実際はどのような物なのだろう…
編集長! そもそも「シンポジウム」とはなんですか?
編集長
「シンポジウム」とは、あるテーマについて、組織や立場を超えて議論を行う会のことです。ふつう、1つの問題をテーマに、数人が意見を発表し、参加者全員で討論を行います。今回は、この前に「基調講演」と言って、お2人の方に講演をしていただきます。
ソルティー
なるほど…。ところで今回は編集長が「EMANON準備室」の室長としてこの「シンポジウム」を開催するそうですが、どうして「高校生と地域協働」ということをテーマに開こうと思ったのですか。
編集長
コミュニティ・カフェ EMANON」を白河の高校生を一緒につくったおかげで、この2年嬉しい出会いがいくつもありました。
なかでも、「一緒に活動してくれる高校生」そして「全国で高校生と地域の協働を仕掛けているオトナ」。そんな人たちとたくさん出会うことができたことに、私自身わくわくしてきましたし、活動に確かなニーズがあることを確信してきました。
今回のシンポジウムでは、地域と高校生との協働というテーマで真剣な議論をし、活動を発表してもらおうと思いました。そうすることで、私自身が様々な人との出会いから感じた、地域で活動することへの肯定感や必要性、そして勇気を、会場に来てくれる高校生、そしてオトナたちとシェアできると思ったからです。

パネラーの皆さん。(奥から)小川さん、星浩次・白河市教育委員会教育長、高橋正人・福島大学大学院特任教授。

 

「高校生」からはじまる地方創生―一般社団法人「i.club」代表理事・小川悠さん

基調講演をする小川さん。

「基調講演」を行ってくださったのは、一般社団法人「i.club」の代表を務めていらっしゃる、小川悠さん。

小川さん
今日の役目は1つ、高校生を支援するためのモデルづくりをすることです。なぜいま高校生を支援するのかという話をします。

小川さんは神奈川県横浜市のご出身。2013年に東京大学大学院工学系研究科修士課程を修了し、地域における若者の地域離れの解決のための新たな仕組みづくりをするため、「i.club」を立ち上げたのだそう。

小川さん
「i.club」では、だれもが未来をつくるアイデアを出したいということをしています。そのためには未来の世代にイノベーション教育を、今の世代にイノベーションを、ということをしています。キーワードは「イノベーション」です。毎日見かける言葉ですが、意味があまり伝わっていません。「未来をつくるアイデアを出すこと」がイノベーションです。

小川さんらしい、ユニークな形の自己紹介。数字はその段階で何年過ごしたかを表している。

小川さん
わたしは、東日本大震災をきっかけに地域に関わっています。マックもスタバもない地元から早く出たい、どうせ仕事もないという被災地の高校生。一方で若者がいなくなる、地域産業がどうなるのか心配だという大人。お互いをサポートする体制がありません。みんな、未来がつくれないのです。3つの「ない」があるからこそ、若者は地元に希望がもてないのです。良さを理解する機会がない。世代を超えたつながりがない。なにより、未来をつくるアイデアを学んだことがない。続きはYouTubeでみてください(笑)

3つの「ない」。

小川さん
人工知能の世界が間近に迫っています。変化を怖いと思うのではなく、変化にどのように乗っていくのか、真剣に考えることが必要です。10年後には、いまある仕事の半分が消えるかもしれないと言われています。今までの仕事の価値は「知識詰め込み型」だったのです。国家試験に受かれば将来安泰だと言われていました。しかしこれからはそうではないということを、意識せざるを得ません。仕事の価値は、「未来創造型」になっていくしかないのではと思います。人工知能は質問に答えることはできますが、質問をつくることはできない。未来を創造する力を得るにはまだ時間がかかるのです。
日本の高校生40人に3つの質問をしました。未来をつくるアイデアを出すことは、40人中35人が大事だといいました。また、40人中5人が、アイデアを出すことが好きだと答えました。しかし、アイデアを出すことに自信はある人は、40人中0人でした。衝撃的です。未来をつくるアイデアを出すということについて、みんなが、才能だ、センスだとごまかしてしまうのです。ぼくも高校生のときそうでした。
でもそもそも皆さんは、学校でそれを学んだことがないのです。学校の先生が、未来について聞くことはありませんし、先生が「わからない」ということもない。でも、未来については答えなどはないのです。そこで、未来について考えるための動機付けをすることが大事で、未来をつくるアイデアを出すための作法を「イノベーション教育」と言っています。

高校生に行ったアンケート結果。

小川さん
イノベーション教育で何が起きるか。スタバやマックがないと言っていた高校生が地元に就職しました。地元で自分はこうしていきたいと思ったといいます。地元で活躍するためにマーケティングを学びたい、商学部にいくといって地元を出ました。いま大学にいく大きな理由は、地元を出るための口実です。でもそれは本来違います。悪循環を断ち切り、「地域と共に生きる」ことを提唱したいのです。
なまり節ラー油をつくったらメディアで注目されました。これから、ほかのものとの差別化をする鍵は「ストーリー」です。モデルは高校生にイノベーション教育をして、そのアイデアを大人にプレゼンします。将来の希望である子どもが一所懸命プレゼンするので、大人も聞きます。これこそが「地方創生」で、このようなモデルづくりが大事ではないかと思います。高校生にイノベーション教育を提供します。そしてイノベーションをするのは大人なのです。大人がしないと子どもへの希望がつくれません。この流れをつくる仕組みづくりに協力しています。

当日は「OMSB」代表・花岡さん(左)の姿も。2016年10月以来2回目の白河来訪でした。

小川さん
地域での実践教育で学んだ3つのことは、つなげる、つづける、つみあげるです。
まず「つなげる」ということで、しっかりとしたコンソーシアム[※1]をつくりました。高校生が中心にいて、商工会議所や町内企業と、デザインができる芸術村の協議体を作りました。
「つづける」では、お麩をラスクにして西会津町でいちばん売れています。だいたいは作ったら終わりですが、続けることが大事です。いまは車麩のブランディングをしています。さらに高校で年間プログラムをしています。
そして「つみあげる」。私は中学生に対しても「アントレプレナーシップスクール[※2]」を、総合的な学習の時間で、中学3年生へ、年に2日間行っています。また「若者街づくりプロジェクト[※3]」、そして「まちひとしごと[※4]」。ここまでしないと、中学生から30代の流れを作れないと思います。作っていける町が地方創生できる町だと思います。「つなげる」、「つづける」、「つみあげる」を町としてすることが大事です。

※1 コンソーシアム…協会、組合。多く、特定の目的の為に集まった企業連合のことを言う。(広辞苑より)
※2 アントレプレナーシップスクール…企業家精神や、新しい事業の創造意欲に燃え、高いリスクに果敢に挑む姿勢を育てる講座。(デジタル大辞泉より)
※3 若者街づくりプロジェクト…西会津町の20代から30代の方々が行っている、未来を創る活動。
※4 まちひとしごと…西会津町の20~70代が一緒になって街づくりを考える活動。

教育現場からー2人のOB校長先生から

星教育長
私は大学を卒業したあと、37年間高校の教員をしていました。その間の反省としては、高等学校の生徒を囲い込んでいた、ということです。余計なことをしないで、授業と部活だけしていればいいのだという。それ以外のことは、大学にいったらどうぞ、ということでした。地域の次世代を担う人材、高校生が地域の未来をつくる、地域の次の世代の主役なんだ、ということについて、まさにそう思います。地元について、きちんと知ることで、これからの先の50年を行きていく上で、根無し草になってしまう。
もう一つは、高校生、若者の自己肯定感が少ないということ。アメリカや中国など、諸外国に比べて、日本の高校生は自尊心を持っている割合が少ないという結果が出ています。自分には人並みに能力があると感じている高校生が、プライドを持っていると感じている高校生が、少ない。どのように自己肯定感を持たせるのか、これは大事なことだと思うので、実践したいと思います。
高橋教授
非常に刺激的なお話でした。新しい学習指導要領が、2017年3月に出たばかりですが、今度こそは文部科学省も本気なのではないかと思います。社会に開かれた教育、すなわち学校内にとどまるのではなく、社会に出たとき、あなたにはなにができるのか。私は国語教育が専門です。ボタニカルアクティブラーニングという概念を考えています。垂直軸、時間軸のある、自己との対話が、学びを変えるのではないかと考えています。

「何もない」を原点に―高校生の「ここまで」と「これから」/白河市・「裏庭」編集部

「裏庭」編集部を代表して発表した4人。

後半は、高校生の活動についての発表。まずはじめは白河市・「裏庭」編集部の代表として、もえゆうなあさぴよこばしょうの4人が登壇した。

もえ
はじめに「裏庭」編集部の原点について説明します。私たちの福島や白河のイメージは、「何もない」ということでした。白河で過ごした時間が長ければ長いほど、他の地方に誇れるものが「何もない」と思ってしまいます。でも、それは単に「見つけていないだけ」だと思い、(それを見つけて)伝える手段として「裏庭」編集部を発足させました。高校生ライターとして取材し、記事にして、メディアや雑誌として発信しています。
ゆうな
突然ですが、白河市にはある社会問題があります。それは、高校生が、学校から家にまっすぐ帰る、いわゆる「直帰」してしまうことです。原因の1つは部活動です。終了時間が夜7~8時と遅くなるので夕食の時間に重なり、寄り道をすることができません。2つ目は登下校時に車を使う人がかなりの数おり、”Door to door”での移動になってしまうからです。3つ目としては、どこにどんな店があるか知らないという人が多いことがあげられます。
あさぴよ
では寄り道できる場所を発信しようということで、フリーペーパーをつくることにしました。なぜウェブサイトではだめなのか。
これはある高校生のスマホのアプリごとのバッテリー消費量ですが、上位は動画サイトやSNSで、ウェブサイトを見るためのアプリの消費量は全体の5%、能動的に閲覧しなければならないウェブサイトではだめだということになりました。

ある高校生のアプリ別バッテリー消費量。ちなみに本人曰く、「YouTube」のバッテリー消費量が多いのは、「つけっぱなしにして寝たから」だそう。

あさぴよ
話は戻りますが、私たちは「寄り道」を次のように定義しました。
「目的意識なく、いつもと違うルートで、スタートとゴールがあり、特別ではない買い食いができて、ちょっと笑顔になれる。」
こばしょう
どういうことが寄り道なのか。たとえば「直帰」だと、白河高校から大通りに出て帰る。けれども寄り道では、わき道に入ってお店に寄り、何か食べて帰ろうかなということをします。

こばしょう、頑張っています。

こばしょう
さっそく、しぶき茶舗さんや、山形やさん、佐川だるまさん、そして1個30円のコロッケが売っているMDとみやまさんなどに取材に行きました。今後は、白河にはこんな場所があるなだと知ってもらい、行ってもらいます。お店を知り、寄り道を増やすということができるのは一石二鳥です。
水畑さん
どんな点に気をつけて、話を聞いたり書いたりしていますか?
こばしょう
フリーペーパーのターゲットは高校生なので、高校生でも買える値段、学校から駅までの、徒歩で行ける距離のスポットをピックアップするようにしています。
水畑さん
すばらしい、ぜひ続けてください。なぜ寄り道をするのか? いまいちわからなかったので、仲間内、また親御さんはどう思っているのか、など聞いてみるといいかもしれない。高校生が寄り道をすると、本当に地域の人は喜んでくれるのか? 高校生がお腹を空かせてよってくれる結果、赤字サービスということもある(笑) 地域の方々や、親の話も聞くと、よりよい活動になるのではないでしょうか。
小川さん
イノベーションとは未来をつくること。3つの評価をしています。新規性、未来性、一貫性。「もっと寄り道して欲しいんだ。」という未来性がよかったです。そして、実際に現場に足を運んで、この店はいいよね、ということを感じている一貫性もよかった。それを踏まえて新規性ですが、せっかく分析したのにYouTubeを使うのではなく、フリーペーパーだった。いま、世界中でウェブサイトではなく冊子を作っているのは日本だけで、全部ウェブになりつつあります。世界の若者がどうYouTubeを使っているか?目を向けていくといいのではないでしょうか。

終了後、「裏庭」編集部の4人にインタビューを行った。

ソルティー
お疲れ様でした。シンポジウムに参加してみていかがでしたか?
もえ
「地域に貢献したい」という同じ思いを持つ高校生の活動をお互いに知ることができ、また、ゲストの皆さんの貴重なお話を聞くことができてとてもいい経験になりました。私個人としては、今まで活動してきたことを、県内外の高校生による活動に興味がある人に伝えられたのが、とても嬉しかったです。
ゆうな
いつもは同じ年代の人に発表や挨拶をしていて、今回も同じ感じで発表すれば大丈夫かなと思ったのですが、いざ発表するとなった時にいつもの倍緊張してしまい、たくさん噛んでしまいました。今回のシンポジウムで偉い方の考えを聞けたため、とてもためになりました。やはり、多種多様な意見を聞くことはいいことだなと思いました。
あさぴよ
他の団体の高校生だけでなく、たくさんの知識を持った大人の方々とも話すことができ、とてもいい刺激になりました。感謝でいっぱいです。
こばしょう
今までは自分から発表する機会があっても、他人からの意見を聞く機会があまり無かったので、今回のシンポジウムは貴重な体験になりました。また、他団体の高校生と交流する事も出来たので、今後の活動に活かしていきたいと思います。
ソルティー
発表の中で2つ気になったことがあるんですけど、まず、どうして「直帰」することが白河の社会問題であると考えたのですか?
ゆうな
例えば、観光客などに「このお店はどこですか??」と聞かれた時、「直帰」していたら、どこにあるかわからなくて答えられないという可能性もあります。自分が住んでいる場所なのに知らないのはもったいないと思います。だから、社会問題であると思いました。
ソルティー
なるほど… あともう1つは、「寄り道」の定義があったと思うんですけど、どうしてそのように定義したのですか?
あさぴよ
同年代の高校生にもっと気軽に市内のお店によってほしいという思いから、僕たちは「よりみち」を①「500円以内で」②「気軽に立ち寄れる」③「お店や場所に行くこと」と定義しました。
ソルティー
なるほど。ありがとうございました!

「若い」からこそ「経験」を―南相馬市・「Live Lines Odaka」

LLOを代表して話をしてくれた皆さん。

続いて、南相馬市小高区で活動をしている「Live Lines Odaka」の皆さんが発表を行った。

空翠
南相馬市という遠い国からやってきました。私たちは市役所の一環として活動をしています。市役所がアポイントをとってくれたりしています。事業目的は「本市の将来を担う人材を育成するため。」嫌ですね(笑) 主な活動として、ワークショップや市長へのプレゼンテーションなどをしています。
菅野
LLOは、男子8人、女子2人でメンバーは10人です。去年までは市長へのプレゼンテーションを目的に活動してきました。今年は市長に提案したことを実現するために活動しています。これまで、東京、会津などからプログラムの仕事をしている人が小高を盛り上げるためのアプリを考える「小高ハッカソン」というイベントを行いました。参加して、東京や会津の大人とつながりがもてました。また、イベントの中で、プログラミングに興味をもって、いまは月1回教室に通っている高校生もいます。

このときの記事はこちら

 

蒼羽
これはEMANONと交流した時の写真です。おしゃれなキッチンカーでコーヒーを売ろうということで、車を塗装しました。そのときに白河の高校生がきてくれて交流しました。初対面でしたがいい笑顔の写真です。
菅野
このほかにも、「高校生見守り隊」[※5]という活動や、Skypeでの広島の高校生との交流、また、宇都宮で開催された「ミラクルプロジェクト」などに参加したりしました。
空翠
今の課題は全員3年生だということです[※6]。受験などで活動に参加できないのです。後輩にも勧めたいのですが、ボランティアはだいぶ固いことのように思えてしまうのです。
僕自身の理想を言います。水畑さん、小高ってどこにあると思いますか。
水畑さん
南相馬市。
空翠
南相馬市ってどこですか。
水畑さん
相馬市の南。(笑)
空翠
拍手します(笑) 僕自身、小高ってどこという感じでした。そこで、「小高といえばLLO」でいいんじゃないかと思いました。

力強く話してくれました。

空翠
日本の人は、周りに流されておくという人が多いです。でもこの活動を通じてそれではだめだと思いました。大人でも流される人が多いですが、進んで行動することは大事だと思います。リスクは二の次。進んでみれば何か変わります。
僕たちはこういう活動をしてきました。大人のみなさんも、若いからだめというのではなく、若いから経験をさせてあげてください。課題も宿題も、言われた通りにしかしません。言われた通りにしかさせないのです。それではだめだと思います。

終了後、LLOを代表して発表をした4人にインタビューを行った。

ソルティー
お疲れ様でした。シンポジウムに参加してみていかがでしたか?
菅野
楽しかったです。大人の考えや、復興のためにこれからどうしていく事が大切かを具体的に聞けたので参考になりました。
温生
他の高校生がどんな活動をしているのか、復興への考え等を知れて、有意義な時間になりました。楽しかったです。
蒼羽
復興を中心に考えている僕らとは違って、寄り道をたくさんしてもらおうとか、自分の高校のブランドを知ってもらおうとか、自分達と違う高校生が行っている活動が知れて楽しかったです。
空翠
とても勉強になる時間でした! 今までは基本的に自分達が主役としてのイベントが多かったから新鮮でした。他の地域の高校生の意見や考えを知れるのも嬉しかったし、LLOの為の時間を作ってくれたのも感謝しています。
ソルティー
後輩がいないということも課題に挙げていました[※6]が、「LLO」は今後どのようになってほしい…というか、どうしていきたい…というか(笑)
蒼羽
自分達がしてきたこととは全然違う新境地を開いて欲しい! でも秋祭りは毎年参加して欲しいですね。楽しいし(笑)
菅野
後輩はできましたが、任せきりにするのではなく、受験生ではありますが後ろからサポートしたいです。
温生
受験もありますが、出来る限り手助けしていきたいです。
空翠
発表でも言ったけれど、復興の最前線を行くような特攻隊長的な存在になってほしいです。何をするにしても楽しさは大事だし、今復興でネガティブになっている被災者達を元気づけて、一緒に復興できた! って自信をもって言えるようなグループになって欲しい。今まで自分達がやってきたことを全て後輩に教え尽くし、サポートで留まれるか分からないけどサポートしていきます。

※5 高校生見守り隊…高齢者の方と交流したり、お手伝いを行ったりする活動。2017年1月にスタート。

※6 「LLO」公式Twitterによると、2017年8月25日現在、1年生の後輩が8人加入してくれたそう。

 

福島の魅力を知ってほしい―白河実業高校農業科畜産専攻班

実業高校農業科畜産専攻班の皆さん。

最後に発表を行ったのは、福島県立白河実業高等学校農業科で、畜産について学んでいる「畜産専攻班」のみなさん。

畜産専攻班
私たち農業科は、(3学年合わせて)生徒は119名、教員は8名です。女子が多く、男子は指で数えられるくらいで少ないです。男女とも仲良く、協力しています。
5つの専攻班(畜産・野菜・果樹・作物・草花)で、実習や課題研究に取り組んでいます。1~2年生は5つの班をローテーションで行い、3年生は1つの班を選択して行います。
畜産専攻班
畜産班では8名で実習しています。ウシやニワトリが少しこわい人もいますが、とてもがんばっています。男女協力してのんびりと活動しています。私は生き物が好きで、ウシやニワトリを育てるというほかの学校で経験できないことが経験できるから(畜産を)選びました。

それぞれの専攻班の活動内容。

畜産専攻班
私たちが考える畜産とは、「有益な価値をもたらす」、「経済的な価値がある」、「命の大事さがわかる」ことです。
ニワトリについて説明します。まず除糞を行い、次に集卵をし、卵をきれいに拭いてパック詰めをします。卵は重さなどでサイズが決まるので量ったあとに詰めます。販売は、白河市が中心です。飼育しているニワトリは「ボリスブラウン」という種類です。性格が温厚で、卵をたくさん生みます。私たちの卵は地域の人にとても人気です。
管理のほかにも、資格取得のための勉強や、家畜審査競技大会のための勉強会もしています。平成29年度には乳牛の部で最優秀賞をとることができました。そのほかにも意見研究発表大会では3人の生徒が優秀賞に輝きました。
畜産専攻班
毎日管理することで臭いを抑え、採れたてのものを提供できます。ただ、毎日の管理には労力が必要です。
私たちの学校に加工施設がないので、おいしさを広く知ってもらうことができません。そこで青砥さんの紹介で今日のシンポジウムに参加しました。卵を使って加工食品を開発し、多くの人に福島の魅力を知ってもらいたいです。幼い子どもたちにも食の安全や大切さを知ってもらいたいです。(「畜産」という仕事の)やりがいも知ってもらいたいです。そのために、私たちには協力者が必要です。賛同してくださる方、ぜひ白河実業高校にいらしてください!
小川さん
畜産には詳しくありませんが、自分が優しくなれるという話は素敵で、みなさんにしか語れないことだと思いました。それを踏まえてのアドバイス。これからのいいもの、というのは、性能・デザイン・ストーリーが重要です。いちばん危ないのは、「地元のものを使っているからおいしい」という言い方です。おいしくて当たり前なのです。コンビニに言ったら、おいしいじゃないですか。コンビニエンスストアにできないことをしなくてはならないです。みなさんならではのこと、みなさんが世話をした卵は世界に一つしかありません。ストーリーはたくさん思い浮かぶと思います。試して欲しいです。
水畑さん
たいへん素敵な話でした。ぜひともどこかの大人と、コラボレーションして実現して欲しいです。私は売れるものはわかりませんが、仲間を見つけるという点からアドバイスします。一緒に協働してくれるパートナーを探すためにまず大事なのは、相手の気持ちや話をよく聞くことです。相手にも心があり、ビジネスをして食べていかねばならない。白河の人が、なにをしたいと思っているか知っていけば、すばらしいパートナーが見つかるのではないかと思います。
小川さん
最後に一言あります。今日ここに集まってくれた高校生は特殊です。特殊というのは、すでに、ここにいる高校生たちは地域で頑張っているからです。「高校生もっと頑張れ」という声は、毎回どのような地域でもあがります。しかし、正直言って、高校生よりも大人側が変えていかないと、意味がありません。EMANONのような、高校生がチャレンジできる場づくりを継続的に支援すること。外から教育を変えていくこと。正直言って、高校生よりも大人側が変えていかないと、意味がありません。大人側が働きかけをしながら、地域と協働しなければいけないよね、というプレッシャーをかけていかないといけない。大人側から仕組みづくりを埋め込み、また学外のEMANONのようなところを支えていくことが、地方創生だと思います。実は、大人側がぜひとも変わっていかなければならないのです。

シンポジウムの最後に集合写真。登壇者の方、参加者の方、支援者の方、ありがとうございました!

ライターの編集後記―これからの「地域」と「高校生」、そして「大人」の在り方

ソルティー
今回のシンポジウムでは、「高校生世代と地域協働」というテーマのもとで議論がなされた。とても貴重なお話や、同じ高校生世代の発表を聞いて、それぞれがそれぞれの課題と向き合いながら、地域をより良いものとするために、精力的に活動する姿が印象に残った。特に小川さんは会津、我々「裏庭」編集部と白河実業高の皆さんは中通り、LLOの皆さんは浜通りと、県内3地方で活躍する高校生や大人の方々が一堂に集結し、お互いの活動を理解することによって、「地域」の枠を広げて、福島県全体についても考えるいいきっかけになったと思う。地方の活性化の鍵を握るのは我々「高校生」なのだと改めて認識するとともに、高校生「だけ」でも、大人「だけ」でも空回りしてしまうという難しさもあるのだなと感じた。このシンポジウムに参加していただいた方々がきっかけとなって、県内外を問わず、様々な地域で、「高校生」と「大人」とが協働し、地方をより活性化していってほしい。

編集部注:この公開シンポジウムは、「高校生世代と地域協働ーふくしまからはじめよう、地域での実践教育ー」として、2017年7月22日白河市のマイタウン白河にて開催されました(平成29年度福島県教育委員会子どもがふみだすふくしま復興体験応援事業「しらかわの高校生による6次化マルシェプロジェクト」)。

 

ABOUTこの記事をかいた人

ソルティー

白河市表郷出身。高校生ライターとして記事を執筆する傍ら、Webサイトの編集も兼務。理系で、将来は数学を用いた仕事をしたいと日々努力中。特技はカレンダーの曜日を当てること。だが披露すると驚かれるか引かれるかの二極で意外と怖い。座右の銘は「継続は力なり」。